circaのインコ日記ヽ(^。^)ノ

インコ大好き、鳥大好き人のブログ

小鳥のお医者さんへ ~飼い主、トラウマを乗り越える~

マコトが突然苦しみ出したのは、今から二週間前のことです。

 

風邪をひいた人間が鼻水をズズっとすするようなもの凄い音と共に激しく咳き込み、口を開けて全身で呼吸をするマコトを見て、正直もうこの子は助からないのではないかと思いました。

 

すぐに獣医さんへと思いましたが、病院までの移動の最中にも落鳥してしまいそうな酷い状態です。いつもの病院へ電話をして相談すると、先生も「今は動かす方が危険です」と断言。マコトを連れて行く代わりに先生の指示通り、デジカメでマコトの発作時の様子を動画に撮って、わたしだけ行きました。発作時に鼻から分泌物が出て、ズルズルと酷い音がするので、先生は何かしらの感染症の疑いが高いと判断。抗生物質と栄養剤を処方され、マコトはわたしの部屋へ隔離して、徹底的な保温と安静のもと、経過観察となりました。

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処が、いつもは効くはずの薬が、今回はいっこうに効きません。マコトの発作は徐々に頻度が減ってきたとはいえ、ひとたび起こると大変な苦しみようです。これは感染症じゃないと直感的に思ったわたしは、都内の鳥専門の病院を片っ端から検索し、飼い主さん達の口コミをくまなく読んで、幾つか候補を絞りました。そして家から一番近い病院の予約を取って、マコトを連れて行ったのが今週初め。この時はもう、最悪のことも視野に入れて、覚悟を決めて出掛けました。

 

視診、聴診、触診、それから糞の検査の結果、一番疑いが高いのは心臓病とのことでした。肺は問題ないけど、心臓から異音が聞こえるそうです。まるで死の宣告を聞いたような気分になり、わたしは目の前が真っ暗になりましたが、ドクターというのは人間のお医者さんでも動物のお医者さんでも、こういう時は冷静沈着ですね。救われました。ひとまず心臓の薬を試してみて、数日間様子を見ることになりました。感染症の疑いが晴れたので、鳥部屋へ戻して大丈夫ですよと言われ、帰宅したその日からマコトは10日ぶりに、お婿さんのみつをや、大好きなお友達の元へ戻りました。

 

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マコトもみつをも、10日ぶりの再会がよほど嬉しかったのでしょう。寝る間際まで二人寄り添って離れませんでした。マコトの薬は心臓に負担をかけない為に、強制的に飲ませるのではなく、水差しの水に溶かして与えることになったので、みつをとは暫く別居になってしまいました。でも毎日、午前中と夕方の就寝前には、マコトの水差しを抜いて、マコトのケージでデートさせています。

 

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10日前にはガリガリに痩せてしまっていたマコトも(痩せても48gもあったのは、不幸中の幸いでした。マコトは我が家のボタンインコの中でも、体格がいい子なのです)、今では50gまで体重が戻りました。板の上で首をかしげているのがマコト、背中を向けているのがみつをです。

 

そして今日は新たな病院で、マコトの二度目の診察がありました。電車を乗り継いで行ってきましたが、5日前より大分状態が落ち着いていると言われてホッとしました。心臓の薬は継続して飲ませることになり、マコトの体力も考慮して(通院自体がこの子にとってはかなりの負担なので)、少し多めに貰ってきました。

 

今日は急きょナツも連れて行きました。ナツの止まらない軟便と、ホロホロと抜け続ける羽について診て貰って来ました。糞の検査の結果は異常なしで、水を大量に飲むので必然的に便が水っぽくなるのだそうです。そして羽は、抜けるのではなく、軽い毛引き症とのことでした。毛引きは勿論のことですが、水を大量に飲むのも心因性、つまり何らかのストレスが原因だそうです。ナツには軽い精神安定剤を処方されました。

 

実はナツの軟便も毛引きのことも、いつものかかりつけの先生の所ですでに診察済みでした。どちらの病院でも、先生方の見解が一致したので、内心ホッとしました。まるで新しい先生を試すようで申し訳なかったのですが、これから我が家の小鳥達を診て貰う以上、つまり命を預ける以上は、飼い主としては慎重にお医者さんを選びたかったのです。

 

かつてこの家に、ハル子というルリコシボタンインコの女の子がいました。ハル子が体調を崩して鳥専門のお医者さんに連れて行ったことがあったのですが、ハル子はその翌日お★さまになりました。ハル子の死とその獣医さんの因果関係は、当然知る由もありません。でも、病院でレントゲン検査を受けた時のハル子の怯え切った目が、悲鳴が、今も脳裏に焼き付いて離れないのです。獣医さんに連れて行っても行かなくても、翌日には絶える命だったのかも知れません。でも、いずれにせよ死の間際に、ハル子に要らぬ恐怖心を与えてしまったと、わたしはあの子を失ってからずっと後悔し続けて来ました。それ以来わたしは、鳥専門の獣医さんを遠ざけてきたのです。小鳥の具合が悪くなれば、何としても助けたいと思う気持は、わたしも同じです。でも、今この子を動かすのは危険だと思う程重篤な時もあります。獣医さんに連れて行って、何とかこの子の命を救いたいと思う気持と、今は病院までの移動すら危ういと思うジレンマに、わたしは悩むことがあります。そんな時、突然のレントゲン検査や血液検査というのは、病鳥に耐え難い不安と恐怖を与えはしないかと、怖くてたまらなくなるのです。これが、長い間わたしの中に巣くう、トラウマです。

 

今回マコトを鳥専門の病院へ連れて行った時に、最悪のことも覚悟したというのは、そういうことでした。大掛かりな検査を受けることで、最悪この子がショックで落ちるかも知れないということも、覚悟して連れて行ったのです。でも今度の病院では、即検査にはなりませんでした。検査という手段もありますと、丁寧な説明は受けましたが、それは強制でも、当たり前のように行われることでもありませんでした。このことが飼い主のわたしにとっては、一番の安堵でした。先生同様、わたしも丁寧に自分の意思を説明して、診察の後はマコトを連れて家に帰りました。

 

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心臓の薬を毎日与えながらマコトを見守り、この子の今後の治療について、わたしなりに随分と考えて来ました。そして、検査は受けさせないで、このまま投薬治療で様子を見るという結論に達しました。先生も、それでいいですよと快諾してくれました。この病院では、検査にはかなり慎重を期すようです。マコトの場合は、5日間の検査入院が必要になると言われました。まだマコトを連れて行って今日が二度目なので、断言とまではいかないけれど、信頼に足る獣医師という印象はあります。断言出来るようになったら、病院名もいつかきちんと書きます。もしくは、とりっちに口コミを書いておきます。ネットで調べた限りでは、都内では評判のいい病院みたいです。何だか未だに疑心暗鬼で申し訳ないです。マコト、ここの先生のおかげで元気になってきてるのに・・飼い主、昔のトラウマが大き過ぎて、乗り越えなきゃならない壁は未だ高いのです。

 

という訳で、マコトをみつをや、他の友達から引き離して、数日間検査入院をさせるという選択肢は、今のわたしにはありません。もしもこの子の命が長くないとしたら、わたしはマコトの身体に注射針を刺して、痛くて怖くて不安な思いをさせるよりも、慣れ親しんだこの家で日向ぼっこをさせて、みんなの顔が見えるところで、いつも通りの暮らしをさせてあげたい。そう思っています。何よりマコトが安心出来る環境で、これから先、どのくらいの時間がこの子に残されているのかは分からないけれど、恐怖とは無縁の時間を過ごさせてあげたい。それが飼い主として、わたしがこの子にしてあげたいと思う、一番のことです。

 

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獣医師にも色んな考えの人がいるのだと、今回のことで学びました。獣医医療も今は飛躍的に進歩して、昔は原因が分からないまま命を落としていた小鳥達の命が、救われる時代になりました。けれどその一方で、小鳥の治療には、まだまだリスクはつきものです。病気が治って欲しいとの願いから受けさせた検査の帰りに、突然落鳥してしまったという話は、残念ながら現実にある話です。

 

小鳥達は自分の意思を、先生やわたしに伝えることが出来ません。だから一方的に、わたしがこの子達の治療法を決めざるを得ないのですが、結局は「自分ならどんな治療を望むのか」という思いを、小鳥達に反映させることしか出来ません。苦痛に満ちた治療に耐えさせ長生きさせるのか、それとも、心的ストレスは最小限に抑えて、対症療法で症状の緩和を図りながら、仮に予後は長くなくとも、これまで通りの生活を送らせたいのか。わたしの答えは、後者です。

 

この10年来お世話になっている獣医さんは、予約も要らず、緊急時の対応はとても素早いです。電話での相談にも快く応じてくれます。先生にはこれからも引き続きお世話になりながら、どうしても鳥専門の病院じゃないと病気が突き止められない場合は、予約を入れて、小鳥のお医者さんのお世話になろうと思っています。

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