ナツの毛引き
ナツが、毛引き症と診断されました。
小鳥は神経質で繊細な動物です。
何かの心的ストレスが溜まると、自分の羽を抜いたり、酷くなると自分の身体を咬んで傷つける『自咬』をする個体もいます。小鳥が自傷行為を始めると、命の危険が出てきます。
我が家ではカン助という男の子が自咬になり、わたしはその命を救えなかった過去がありました。
小鳥がなぜ自分の羽を抜いて傷つけるのか、その原因を突き止めることは困難です。
獣医さんの間でも、治療がとても難しいと言われています。
人間は、もちろんわたしもですが、小鳥の言葉や本当の気持を理解することが出来ません。
投薬治療を始める前のナツです。心なしか、というか、毎日一緒に暮らしているわたしにはその変化が分かるのですが、ナツは厳しい表情になりました。
ナツはお尻の辺りの羽を抜き続けます。
お尻に小さな出血痕もあります。
自分で抜いた羽のつけ根が痛むので、そこを更に咬んでしまうという悪循環です。
先週先生の所へ連れて行った時も、ナツはイライラしていました。先生の指を本気で何度も噛みます。心臓もバクバクしていました。ナツは興奮して、怒っていました。
いつものように手を伸ばしても、わたしの指に止まってくれません。
ナツに軽い安定剤を飲ませて、暫く様子を見ることになりました。
でもナツは、薬の時間を嫌がりません。
自分で口を開けて、シロップで甘く味付けされた安定剤を飲んでくれます。
「ナッちゃん、お利口さんだね」
毎日そう話しかけながら薬を飲ませています。
そして薬を飲んだ後は、ナツと少し遊びます。
言葉は通じなくても、ナツに話しかけます。
薬を飲んだ後のナツは、穏やかな顔になります。
興奮状態が鎮まるようです。
一緒に遊ぶと楽しそうにして、いつものように甘えてくれます。
でも薬の作用で、少し眠くなってしまうようです。
だから余り長くは遊ばずにケージに戻すと、ナツはお気に入りのベッドで暫く眠ります。
食欲もあって、リンゴもペレットも何でも食べてくれます。
ナツの心の内を、ストレスの原因を、わたしには理解することは出来ません。
でも、病気になってもナツはナツ。
諦めずに、焦らずに、一緒にがんばっていきます。